小説

【あらすじ・感想】原田ひ香 「図書館のお夜食」

図書館のお夜食

今回ご紹介する本はこちら。

原田ひ香さん著 「図書館のお夜食」です。

「図書館のお夜食」のあらすじ

東北の書店に勤めるもののうまく行かず、書店の仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、開館時間が夕方7時~12時までで、そして亡くなった作家の蔵書が集められた、いわば本の博物館のような図書館だった。乙葉は「夜の図書館」で予想外の事件に遭遇しながら、「働くこと」について考えていく。

亡くなった愛人の本棚に通う年配の女性、かつてライバルだった作家の蔵書を見せてほしいと駆け込んでくる大御所作家、覆面作家の蔵書を引き取りにタワーマンションへ向かう話など、本に関わる人々について描かれている作品です。

「図書館のお夜食」を読んでの感想

最初は図書館で働く人達の過去を深堀りする短編形式で進んでいくと思っていましたが、章を追うごとに少しずつ繋がりが生まれはじめて結末へと向かっていきます。

一通り図書館員の過去や生い立ちが明らかになったあと、最後に秘密が明かされるのはこの作品で最も謎の多い人物である「オーナー」。

なぜマネージャーの篠井だけが連絡を取れるのか、売上が無い図書館をなぜ運営できるのか、ハンドルネームに込められた意味とはなんなのか。

序盤は少しのんびりとした雰囲気も感じられますが、語り手が篠井に変わるところから一気に伏線が回収されていき物語は結末を迎えます。

図書館の司書や新書の販売員、古本屋の店員など本に関わることは同じでも働き方や考え方は様々だなと知ることができた一冊でした。